WACV参加報告

IEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision (WACV)は、コンピュータビジョンに関する主要な国際学会の一つです。このカンファレンスは、1月4日から8日まで、ハワイのワイコロアのビッグアイランドで開催されました。カンファレンスは、海に直結しているワイコロア・ビーチ・マリオット・リゾートで行われました。今年のWACVに、弊研究室から特任助教のWestfectel Thomasが参加してきました。

ハワイでの開催ということもあり、プレゼンテーションを聞きながら他の研究者とディスカッションを行い、同時に美しい景色(特に夕日)や周囲の自然を楽しむ特別な雰囲気が漂っていました。特に、このカンファレンスは他の著名なカンファレンスに比べて規模が小さいため、くつろいだ雰囲気が特に感じられました。

学会会場からの夕日

WACVの焦点の一つは、コンピュータビジョンのアプリケーション側にあります。これは、Dima Damenによる講演にも表れており、その講演は主にエゴセントリックなビデオ理解の可能性についてでした。Dima Damenは基調講演で、データをまず参加者の自然な生活から直接収集することの重要性を強調しました。この講演では、最初にデータセットのテーマを決定し、そのテーマに基づいて特にデータを収集するのではなく、参加者の自然な生活からデータを収集することによって生じる機会に焦点を当てていました。

カンファレンスでは多くの興味深いプレゼンテーションとポスターがありました。CLIPネットワークを使用したソースフリードメイン適応に関するアルゴリズムベースのプレゼンテーション[1]から、豚の耳噛みの検出[2]や精子の評価[3]といったアプリケーションベースのポスターまで様々でした。

 ポスター発表をするThomasさん

弊研究室のメンバーであるWestfectel Thomasは、「Gradual Source Domain Expansion for Unsupervised Domain Adaptation」という研究について発表を行いました。この研究では、非教師付きドメイン適応における、学習早期におきるクラスの不整合の問題に取り組んでいます。非教師付きドメイン適応というのは、目標はラベルの付いたソースデータセットから、ラベルのない画像のみが存在するターゲットデータセットに知識を転送するという問題です。

非教師付きドメイン適応ではターゲットドメインに関する事前知識がないため、特にトレーニングの初めの段階で、2つのドメインの間で不整合(つまり、一部のクラスが誤ったクラスに整列すること)が簡単に発生します。この問題を克服するために、この研究では擬似ソースサンプルを使用して適応に事前知識を導入することを目指しました。これらのサンプルは、ネットワークがクラスに自信を持っているターゲットサンプルであり、トレーニング中にソースデータと同様の方法で使用されます。これらの自信を持った予測を抽出するために、ネットワーク再初期化を伴う反復的な適応プロセスが提案されました。手法の詳細については、[4]を参照してください。(arXivへのリンクはこちら https://arxiv.org/abs/2311.09599 )

会議は毎日午後早く始まったため、朝は島を探索し、美しい自然をもっと楽しむ時間がありました。亀やアシカがビーチで寝ているのを見ることもできました。ビッグアイランドの異なる気候帯を経験することが特に素晴らしく、特に標高4207メートルのマウナケアに登ることが挙げられます。マウナケアは一年中頂上に雪が積もっています(ビッグアイランドは湿潤な熱帯から極寒まで8つの独立した気候帯が広がっています)。また、ビッグアイランドを形成し続けている火山活動の一環である溶岩管を探索することもできました。

 海辺のアシカ

 雪の積もったマウナケア山

[1] Xuefeng Hu et al. ReCLIP: Refine Contrastive Language Image Pre-Training with Source Free Domain Adaptation. WACV 2024.

[2] Anicetus Odo et al. Automated Monitoring of Ear Biting in Pigs by Tracking Individuals and Events. WACV 2024.

[3] Takuro Fujii et al. Automated Sperm Assessment Framework and Neural Network Specialized for Sperm Video Recognition. WACV 2024.

[4] Thomas Westfechtel et al. Gradual Source Domain Expansion for Unsupervised Domain Adaptation. WACV 2024.