開催報告 Lin Chia-Wen教授 講演「Making the Invisible Visible: Towards High-Quality Physics-Guided THz Computational Imaging」

2023年1月18日 国立清華大学 Lin Chia-Wen教授による講演が行われました。本講演はBeyond AI 研究推進機構との共催セミナーとして、対面とウェビナー形式で同時開催されたものです。

講演の前半では、国立清華大学の概要やLin教授の研究室で行われているコンピュータビジョン全般の研究について、後半では「テラヘルツイメージング(※)」に関する研究についてご紹介いただきました。
また講演後には、テラヘルツイメージングの性能や将来性に関する質問が参加者から出て、活発な議論が交わされました。

※電波と光の中間にあたる約0.1~10テラヘルツ(THz)の電磁波=テラヘルツ波を使って対象物を測定し、画像化・視覚化すること

講師

Lin Chia-Wen氏

国立清華大学(NTHU)教授。NTHUのAI研究センター副所長とマルチメディア技術研究センター長を兼任。2019年に名古屋大学の客員教授、2015年に国立情報学研究所の客員教授を務める。研究テーマは、画像・映像処理、コンピュータビジョン、機械学習。

講演概要

テラヘルツ(THz)イメージングは、非侵襲性、非破壊性、非電離性、物質分類性、超高速性などの特徴を持つため、近年大きな注目を集めている3次元物体探査・検査技術です。

しかし、水への強い吸光性と低いノイズ耐性により、再構成されたTHz画像に望ましくないぼやけや劣化が生じることがあります。また、回折限界のあるTHz信号により、既存手法の性能は大きく制限されます。

本講演では、THzイメージングの特徴とその応用について紹介します。また、THz画像復元のために、顕著なTHz周波数で運ばれる豊富なスペクトル振幅および位相情報(すなわち、THz信号の水吸収プロファイル)を用い、THzイメージングの限界を打破する方法を紹介します。

我々のグループでは、THz画像のこのようなマルチスペクトル特徴を融合して効果的に復元する新しい物理誘導型ディープニューラルネットワークモデル、Subspace-Attention-guided Restoration Network (SARNet) を提案しています。さらに、0.1THzから4THzまでの広い周波数範囲をカバーするTHz時間領域分光システムを実験的に構築し、3DオブジェクトのTHz CTデータベースを構築しています。

また、研究室の最近のCV研究活動についても簡単に紹介します。(画像・映像のデブラーリング、インペインティング、デウェザリング)、ディープフェイス処理、ビジョン+言語、分野横断的ビジョン研究(IC-Fab EDA用CV)。